专利摘要:
本発明は、癌の早期治療を目的とする医薬品を調製するための、CD151タンパク質に結合し、かつ腫瘍の成長を阻害することができる、少なくとも一つの抗体またはその機能的断片の一つの使用を目的とするものである。本発明は、CD151タンパク質に結合および/またはその転移促進活性を阻害することができる少なくとも一つの抗CD151抗体またはその機能的断片のうちの一つを活性成分として含む癌の治療用組成物であって、前記抗体がCRL−2696という番号でATCCに寄託されたハイブリドーマにより分泌された抗体で構成されている組成物も目的とするものである。
公开号:JP2011516458A
申请号:JP2011502423
申请日:2009-04-02
公开日:2011-05-26
发明作者:アウ,ジャン−フランソワ
申请人:ピエール ファーブル メディカモンPierre Fabre Medicament;
IPC主号:A61K39-395
专利说明:

[0001] 本発明は、腫瘍の成長を阻害することが可能な抗CD151抗体の新規な使用に関するものであり、前記抗体は、特にマウス由来モノクローナル抗体、キメラ抗体およびヒト化抗体である。特定の態様によると、本発明はこれらの抗体またはそれらの機能的断片の、癌、特に原発腫瘍の早期治療のための医薬品としての使用を目的とするものである。つまり、本発明は、例えば抗体および/もしくは抗癌剤と会合した状態のまたは毒素と結合した上述の抗体を含む製品および/または組成物、ならびに、いくつかの癌の予防および/または治療のためのそれらの使用を含むものである。]
背景技術

[0002] PETA−3またはSFA−1とも呼ばれるCD151は、テトラスパニンファミリーに属する膜タンパク質である(Boucheix et Rubinstein, 2001, Cell Mol. Life Sci. 58, 1189−1205 ; Hemler, 2001, J. Cell Biol. 155, 1103−1107)。ヒトにおいては、CD151は253個のアミノ酸を有し、4つの膜断片ならびに細胞外ループとも呼ばれる2つの細胞外ドメインEC1(アミノ酸18個、配列[40〜57])およびEC2(アミノ酸109個、配列[113〜221])を備えている。しかしながら、ヌクレオチド配列レベルでは、CD151についての二つの変異体、すなわち、一方はそれぞれ395位および409位にあるヌクレオチドAおよびCを含むもの[Fitter et al., 1995, Blood 86(4), 1348−1355]、そしてもう一方は同じ位置でヌクレオチドAおよびCの代わりにヌクレオチドGおよびTを含むもの[Hasegawa et al., 1996, J. Virol. 70(5), 3258−3263]がこれまでに同定されているという点に留意すべきである。このため、ペプチド配列のレベルの突然変異、すなわち、それぞれ132位および137位にある残基K(Lys)およびP(Pro)から、残基R(Arg)およびS(Ser)への突然変異を観察することができる[Fitter et al., 1995, Blood 86(4), 1348−1355 / Hasegawa et al., 1996, J. Virol. 70(5), 3258−3263]。]
[0003] CD151は、例えば肺癌[Tokuhara et al., 2001, Clin. Cancer Res. 7, 4109−4114]、結腸癌[Hashida et al., 2003, Br. J. Cancer 89, 158−167]、前立腺癌[Ang et al., 2004, Cancer Epidemiol. Biomarkers Prev. 13, 1717−1721]、または膵臓癌[Gesierich et al., 2005, Clin. Cancer Res. 11, 2840−2852]などの数多くの癌において過剰発現している。]
[0004] CD151を発現しないノックアウトマウス、抗CD151抗体、および様々な細胞型におけるCD151の機能性と発現性をインビトロで遮断するためのsiRNAの使用により、細胞接着(Nishiuchi et al., 2005, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102, 1939−1944 ; Winterwood et al., 2006, Mol. Biol. Cell 17, 2707−2721)、細胞運動性(Kohno et al., 2002, Int. J. Cancer 97, 336−343)、細胞移動(Yauch et al., 1998, Mol. Biol. Cell 9, 2751−2765 ; Testa et al., 1999, Cancer Res. 59, 3812−3820 ; Penas et al., 2000, J. Invest. Dermatol. 114, 1126−1135 ; Klosek et al., 2005, Biochem. Biophys. Res. Commun. 336, 408−416)、細胞侵入(Kohno et al., 2002, Int. J. Cancer 97, 336−343 ; Shiomi et al., 2005, Lab. Invest. 85, 1489−1506 ; Hong et al., 2006, J. Biol. Chem. 281, 24279−24292)および血管形成(Yanez−Mo et al., 1998, J. Cell Biol. 141, 791−804 ; Sincock et al., 1999, J. Cell Sci. 112, 833−844 ; Takeda et al., 2006, Blood)などの、癌に関連する複数の現象にCD151が関与することを示すことができた。]
[0005] テトラスパニンの注目すべき特性の一つは、互いに会合し、かつ他の数多くの表面分子に会合して、構造化された高分子複合体を形成する能力を有するという点にある。これらの複合体の内部で、各テトラスパニンは、このように、第一の複合体を形成する一つまたは複数の表面分子に特異的に会合しており、該第一の複合体はテトラスパニンおよびパートナー分子で構成される。テトラスパニンは、原形質膜の特定のミクロドメインを組織することができ、その内部で、機能的に結合され得るその分子パートナーを補充すると考えられる。テトラスパニンが関与する相互作用全体は、「テトラスパニンネットワーク」または「テトラスパニンウェブ」と命名された。]
[0006] CD151は、細胞の表面で様々な膜タンパク質と相互作用する。いくつかの洗浄剤の作用に対し耐性をもつ非常に安定した複合体が、ラミニンの受容体であるインテグリンで、そしてより詳細には、ラミニン5を好ましいリガンドとするインテグリンα3β1またはα6β4で、特に明らかにされた(Yauch et al., 1998, Mol. Biol. Cell 9, 2751−2765 ; Lammerding et al., 2003, Proc. Natl. Acad. Sci USA 100, 7616−7621)。この会合には、インテグリンおよびCD151の細胞外ドメインが関与している。EC2ループ内に局在化しているCD151のQRD配列[194〜196]は、この部位の突然変異が一部のインテグリンとの相互作用の喪失を引き起こすため、この会合において非常に重要である(Kazarov et al., 2002, J. Cell Biol. 158, 1299−1309)。一方、機能的三元複合体CD151/インテグリンα6β4/c−Met(HGFの受容体)が腫瘍細胞内で明らかにされた(Klosek et al., 2005, Biochem. Biophys. Res. Commun. 336, 408−416)。RNA干渉で細胞を処理することによるCD151の発現の阻害は、HGFにより誘発される細胞の成長および移動の阻害を引き起こす。]
[0007] テトラスパニンネットワークの形成に必要な、同一細胞内でのCD151と他のテトラスパニンとの相互作用は、EC2のループの欠失によりCD151と他のテトラスパニンの会合が破られないことが示されたことから、CD151の膜領域および細胞質領域に左右されると考えられる(Berditchevski, 2001, J. Cell Sci. 114, 4143−4151)。]
[0008] CD151は、例えばPI4−キナーゼとの会合を介したホスホイノシチド経路(Yauch et al., 1998, Mol. Biol. Cell 9, 2751−2765)、FAK、Src、p38−MAPKおよびJNKのリン酸化反応(Hong et al., 2006)、PKCによるインテグリンのリン酸化反応(Zhang et al., 2001, J. Biol. Chem. 276, 25005−25013)、RhoファミリーのGTPアーゼの活性化(Shigeta et al., 2003, J. Cell Biol. 163, 165−176)を介した、c−Junのシグナル伝達経路などの、様々なシグナル伝達経路の調節により、細胞の接着、移動および侵入の現象を調節することができる。]
[0009] 細胞間の同種親和性タイプの相互作用も同様に、細胞の運動性およびメタロプロテイナーゼMMP−9の発現を増加させる原因である(Hong et al., 2006)。これらのCD151−CD151細胞間の相互作用は、FAK、Src、p38−MAPKおよびJNKのリン酸化反応を介したc−Junの活性化を引き起こす。]
発明が解決しようとする課題

[0010] これまで、CD151タンパク質の意義にも関わらず、生成されたのはモノクローナル抗体50−6およびSFA1.2B4という二つの治療用抗体である。これら2つの抗体は、匹敵する活性を有する。これらは実際、動物モデルにおいてインビボでの転移形成を阻害するが、インビボでの腫瘍の成長に対する効果は、一切明らかにされていない。]
[0011] CD151に対するモノクローナル抗体50−6(アイソタイプIgG1)は、マウスにおいて、HEp−3ヒト扁平上皮癌細胞でのサブトラクティブな免疫化により生成された(Testa et al., 1999, Cancer Res. 59, 3812−3820)。]
[0012] 50−6抗体は、CD151およびHEp−3細胞を過剰発現するためにトランスフェクトされたHeLaヒト子宮頸癌細胞の移動、ならびにbFGF(basicfibroblast growth factor:塩基性線維芽細胞成長因子)により誘導された絨毛尿膜の血管新成モデルにおける血管形成をインビトロで阻害することができる。該抗体は、ニワトリ胚の2つのモデルにおいて、HEp−3細胞の接種により誘発される転移をインビボで阻害する(Testa et al., 1999, Cancer Res. 59, 3812−3820)。これらのモデルにおいては、50−6抗体の阻害活性は、肺抽出物内でhuPA(human urokinase−type plasminogen activator:ヒトウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子)タンパク質の活性を測ることにより判定される。著者らによると、この測定量は、肺の中のヒト細胞の存在を反映するものである。測定後、50−6抗体によって誘発された転移(ニワトリ胚の肺におけるHEp−3細胞の拡散)の減少は、対照抗体と比較して、細胞の接種後に抗体が注入される、いわゆる「自然転移」モデルにおいて74%、そして、細胞および抗体が同時に接種される、いわゆる「実験転移」モデルにおいて57%と推定される。著書らによると、インビボで観察された50−6抗体の抗腫瘍特性は、この抗体がHEp−3細胞のインビトロでの増殖に対していかなる効果も示さなかったことから、細胞増殖抑制効果または細胞傷害効果に関連するとは考えられない。]
[0013] 50−6抗体を産生するハイブリドーマは、CRL−2696という番号でATCCより入手可能である(当初50−6[PTA−227]という番号で寄託されたハイブリドーマ)。]
[0014] 抗CD151モノクローナル抗体SFA1.2B4(アイソタイプIgG1)は、ヒトCD151遺伝子でトランスフェクトされたN1H3T3細胞を用いて腹腔内経路で免疫化した後に、マウスにおいて生成された(Hasegawa et al., 1996, J. Virol. 70, 3258−3263)。SFA1.2B4抗体は、インビトロで、様々なヒト腫瘍系の細胞の侵入および運動性を阻害することができる(Kohno et al., 2002, Int. J. Cancer 97, 336−343)。該抗体は、インビボで、CD151を過剰発現させるためにトランスフェクトされた結腸癌系RPMI14788および線維内腫系HT1080により誘発される肺転移を阻害する(Kohno et al., 2002, Int. J. Cancer 97, 336−343)。]
[0015] 他の抗CD151マウス抗体は、例えば14A2H1モノクローナル抗体(Ashman et al., 1991, Br. J. Haematol. 79, 263−270 ; Roberts et al., 1995, Br. J. Haematol. 89, 853−860)、TS151およびTS151Rモノクローナル抗体(Serru et al., 1999, Biochem. J. 340, 103−111 ; Geary et al., 2001, Tissue Antigens 58, 141−153 ; Charrin et al., J. Biol. Chem. 276, 14329−14337 ; Chometon et al., 2006, Exp. Cell Res. 312, 983−985)などのように、文献中にすでに記述されている。これらの様々な抗体についてはインビボでの抗腫瘍活性は全く記述されていない。]
課題を解決するための手段

[0016] 第一の態様によると、本発明は、癌の早期治療を目的とする原発腫瘍の成長の阻害を目的とする医薬品を調製するために、CRL−2696という番号でATCCに寄託されたハイブリドーマによって分泌されるモノクローナル抗体またはその機能的断片の一つを使用することを目的とする。より詳細には、前記抗体は、50−6モノクローナル抗体である。本発明のさらに一つの態様によると、その使用が本発明の対象となっている抗体は、CD151タンパク質に特異的なものである。]
[0017] 前記50−6抗体について公知であることに反して出願人は、この抗体が腫瘍の成長の阻害活性、特に原発腫瘍の成長の阻害活性を示すことを始めて明らかにした。したがって本発明は、あらゆる期待に反し、癌を早期に治療することを目的とした医薬組成物の調製のためにこの抗体を使用することを目的とするものである。]
[0018] 「早期治療」または「早期に治療する」とは、転移過程がひとたび確立された時点で生じる後期段階とは反対に、転移が出現する前に腫瘍の成長過程を早期段階で阻害する治療を意味すると理解すべきである。非制限的な例として、原発腫瘍のレベルで、すなわち転移過程より前に腫瘍細胞の増殖を阻害することが考えられる。]
[0019] 複数の実験研究により、サプレッサーとして、または転移プロモーターとして作用することによる、転移形成におけるテトラスパニンの重大な役割が示された。かくして、CD9、CD63またはCD82などのテトラスパニンのトランスフェクションは、癌系の転移の可能性を低減させる。これに対して、CD151およびCo−029テトラスパニンの発現は、逆の効果を生じさせると思われる。したがってこれら2つテトラスパニンは、転移のプロモーターである。これらの結果は、複数の癌(乳癌、肺癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、膵臓癌、結腸癌、前立腺癌、黒色腫など)において、転移がある場合にCD9およびCD82の発現度が原発腫瘍よりも低いこと、およびそれらの発現の減少により、より低い生存率が予想されることを実証した、様々な臨床研究と一貫性を有するものである。肺癌においては、CD9およびCD82の発現の複合的な減少は、これら二つの抗原のうちの一つだけの発現が低減した場合よりもさらに大きい転移可能性と相関するとされた。]
[0020] CD151の過剰発現が、肺癌、結腸癌および前立腺癌などの一部の癌の攻撃性と関連し、予後不良の要因とみなされ得るということが、複数の遡及的研究により示されてきた(Tokuhara et al., 2001, Clin. Cancer Res. 7, 4109−4114 ; Hashida et al., 2003, Br. J. Cancer 89, 158−167 ; Ang et al., 2004, Cancer Epidemiol. Biomarkers Prev. 13, 1717− 1721)。これらのケースにおいて、生存率の平均は、腫瘍がCD151を発現しない患者に比べ、腫瘍がCD151を発現する患者において実際低くなる。]
[0021] 対応する遺伝子のトランスフェクションにより誘発される、様々なヒト腫瘍系(HeLa、RPMI14788、A172、HT1080)におけるCD151の過剰発現は、トランスフェクションを受けた細胞の運動性、移動および侵入の増加を引き起こす(Testa et al., 1999, Cancer Res. 59, 3812−3820 ; Kohno et al., 2002, Int. J. Cancer 97,336−343)。これらの現象は、抗−CD151抗体の存在により阻害される。]
[0022] 別の態様によると、本発明に係る抗体の機能的断片は、例えば断片Fv、scFv(scは一本鎖を意味する)、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFv−Fcまたは二重特異性抗体、あるいはポリ(エチレン)グリコールなどのポリ(アルキレン)グリコールの付加といった化学的修飾(「ペグ化」)(Fv−PEG、scFv−PEG、Fab−PEG、F(ab’)2−PEGまたはFab’−PEGと呼ばれるペグ化された断片)(「PEG」とは英語の専門用語にしたがったPoly(Ethylene)Glycolの略である)によって、またはリポソーム、ミクロスフェアもしくはPLGA内への取込みによって、その半減期が延長されているはずのあらゆる断片で構成されており、前記断片は、一般的にそれらが由来する抗体の活性を、たとえ部分的にであっても発揮する能力を有する。]
[0023] 好ましくは、前記機能的断片は、それらが由来する抗体の重鎖または軽鎖の可変領域の部分的配列で構成されるかまたはそれを含むものであり、前記部分的配列は、それが由来する抗体と同じ結合特異性、および、好ましくはそれが由来する抗体の親和性の少なくとも1/100以上、より好ましくは少なくとも1/10以上の、充分な親和性を保持するのに充分なものである。]
[0024] このような機能的断片は、それが由来する抗体の配列の連続するアミノ酸を最低5個、好ましくは10、15、25、50および100個含むものである。]
[0025] 好ましくは、これらの機能的断片は、それらが由来する抗体と同じ固定特異性を一般的に有する、Fv、scFv、Fab、F(ab’)2、F(ab’)、scFv−Fc、または二重特異性抗体のタイプの断片である。本発明によると、本発明の抗体断片は、ペプシンもしくはパパインなどの酵素による消化などの方法および/または化学的還元によるジスルフィド架橋の切断により、前述のとおりの抗体から得ることができる。これとは別に、本発明に含まれる抗体断片は、同じく当業者にとって周知の遺伝子組換え技術により、さらには例えばApplied社により供給されるもののような自動ペプチド合成装置を用いたペプチド合成などにより得ることができる。]
[0026] 本発明の一つの態様によると、使用される抗体は、マウスモノクローナル抗体で構成される。]
[0027] 本発明に係る抗体には、同様に、キメラ抗体またはヒト化抗体も含まれる。]
[0028] キメラ抗体というのは、所与の種の抗体に由来する天然の可変領域(軽鎖および重鎖)を含む抗体であって、前記所与の種と異なる種の抗体の軽鎖および重鎖の定常領域と会合した状態の抗体を意味する。]
[0029] 本発明にしたがって使用されるキメラ型の抗体またはその断片は、遺伝子組換え技術を利用して調製することができる。例えば、キメラ抗体は、プロモーターと、本発明に係る非ヒト、特にマウスのモノクローナル抗体の可変領域をコードする配列と、ヒト抗体の定常領域をコードする配列とを含む組換えDNAをクローニングすることによって実現することができる。このような組換え遺伝子によりコードされる本発明のキメラ抗体は、例えばマウス−ヒトキメラであり、この抗体の特異性は、マウスDNAに由来する可変領域により判定され、そのアイソタイプは、ヒトDNAに由来する定常領域により判定される。キメラ抗体の調製方法については、例えば、Verhoeyn et al. (BioEssays, 8:74, 1988)の文書を参照することができる。]
[0030] ヒト化抗体とは、非ヒト由来の抗体に由来するCDR領域を含み、抗体分子の他の部分が一つ(または複数)のヒト抗体に由来する抗体を意味する。さらに、(FRと呼ばれる)骨格のセグメントのいくつかの残基を、結合親和性を保つために修飾することができる(Jones et al., Nature, 321:522−525, 1986 ; Verhoeyen et al., Science, 239:1534−1536, 1988 ; Riechmann et al., Nature, 332:323−327, 1988)。]
[0031] ヒト化抗体またはその機能的断片は、当業者にとって公知の技術(例えばSinger et al., J. Immun. 150:2844−2857, 1992 ; Mountain et al., Biotechnol. Genet. Eng. Rev., 10:1−142, 1992 ; ou Bebbington et al., Bio/Technology, 10:169−175, 1992の文書中に記述されているもの)により調製することができる。これらのようなヒト化抗体は、インビボでの予防的および/または治療的処置方法における使用に好ましい。他のヒト化技術も同様に、欧州特許第0 451 261号明細書、欧州特許第0 682 040号明細書、欧州特許第0 939 127号明細書、欧州特許第0 566 647号明細書、さらにはまた米国特許第5,530,101号明細書、米国特許第6,180,370号明細書、米国特許第5,585,089号明細書および米国特許第5,693,761号明細書といった特許の目的となっている、PDLにより記載された「CDRGrafting」技術といったように、当業者にとっては公知である。米国特許第5,639,641号明細書さらには第6,054,297号明細書、第5,886,152号明細書および第5,877,293号明細書も挙げることができる。]
[0032] より詳細には、出願人は、いかなる理論とも関連することは望まないものの、癌治療の枠内での抗CD151抗体の使用が、血管形成の阻害だけではなく、特にCD151の転移促進活性の阻害に有利であると示している。実際、これまでに知られていたこと、つまり血管形成、移動および侵入に対する50−6抗体の効果とは異なり、本発明に係る使用は、転移過程、特に細胞接着、細胞移動および/または細胞侵入の過程の阻害だけではなく、明白な直接的帰結として転移形成の阻害を伴う、原発腫瘍の腫瘍成長の現象さえも対象としている。]
[0033] 上述の通り、CD151タンパク質は、テトラスパニンファミリーの一部を成し、そのため、細胞外ループとも呼ばれる2つの細胞外ドメインEC1(アミノ酸18個、配列[40〜57])およびEC2(アミノ酸109個、配列[113〜221])を含む。]
[0034] 本発明によると、使用される抗体は、細胞外ドメインに位置する少なくとも一つのエピトープに結合することができる。好ましくは、前記抗体は、EC1および/またはEC2ループのところに固定されるものである。]
[0035] より詳細には、本発明の好ましい実施形態によると、CD151タンパク質のアミノ酸40〜57および113〜221にそれぞれ対応する細胞外ループ1(EC1)および/または2(EC2)、好ましくはEC2に含まれるエピトープに結合することができる、少なくとも一つの抗CD151抗体またはそれらの機能的断片の一つの使用について記載されている。]
[0036] EC1ループ[40〜57]は18個のアミノ酸を含み、2002.2Daの理論的質量を示す。]
[0037] ループEC2[113〜221]は、N−グリコシル化部位(Asn159残基)、および3つのジスルフィド架橋を形成する6個のシステイン残基を有する。テトラスパニン、特にCD151のEC2ループの構造モデルが、CD81テトラスパニンのEC2ループの三次元構造を元に提案された(Seigneuret et al., 2001, J. Biol. Chem. 276, 40055−40064)。このモデルによると、テトラスパニンは、3つのαへリックス構造から成る、相対的に保存された共通のフレームワーク、および特異的可変ドメインを有する。CD151については、このフレームワークは、領域[113〜157]および[209〜221]、ならびに領域[158〜208]の可変ドメインで構成されると思われる。]
[0038] EC2ループの可変ドメインは、より詳細には、インテグリンファミリーのタンパク質とCD151の特異的な相互作用に関与すると思われる。部位特異的突然変異生成の実験が、インテグリンα3β1またはα6β4などのいくつかのラミニンインテグリン受容体とCD151の会合における、領域[193〜208]、そしてより精確にはトリペプチドQRD[194〜196]、および192位のシステイン残基の重要性を特に示した(Kazarov et al., 2002, J. Cell Biol. 158, 1299−1309)。]
[0039] 「モノクローナル抗体」とは、ほぼ均質な抗体群に由来する抗体と理解すべきである。より詳細には、抗体群の個々の抗体は、ごくわずかな割合で見出すことのできる、自然に発生し得るいくつかの偶発的な突然変異を除いては同一である。換言すると、モノクローナル抗体は、単一の細胞クローン(例えばハイブリドーマ、均質な抗体をコードするDNA分子でトランスフェクトされた真核生物宿主細胞、均質な抗体をコードするDNA分子でトランスフェクトされた原核生物宿主細胞など)の増殖の結果もたらされ、一般的に唯一であり、そして同じであるクラスおよびサブクラスの重鎖ならびに単一のタイプの軽鎖を特徴とする、均質な抗体で構成される。モノクローナル抗体はきわめて特異的であり、唯一の抗原に対するものである。その上、様々な決定基またはエピトープに対する様々な抗体を古典的に含むポリクローナル抗体調製物とは異なり、各々のモノクローナル抗体は抗原の唯一のエピトープに対するものである。]
[0040] 好ましくは、癌治療の枠内における抗CD151抗体の使用は、この同じCD151受容体を過剰発現する癌において特に正当化されるものである。]
[0041] このような癌は、結腸癌[Hashida et al., Br. J. Cancer 89 (2003) :158−167]、肺癌、好ましくは小細胞肺癌でない肺癌[Tokuhara et al., Clin. Cancer Res. 7 (2001) :4109−4114]、前立腺癌[Ang et al., Cancer Epidemiol. Biomarkers 13 (2004) :17]および膵臓癌[Gesierich et al., Clin. Cancer Res. 11 [2005) :2840−2852]で構成される。]
[0042] したがって本発明は、癌の治療のための以上で記述された通りの抗体の使用を特許請求するものであり、前記癌は、好ましくは結腸癌、肺癌、前立腺癌または膵臓癌で構成される。]
[0043] 本発明は、好ましくは薬学的に許容できる賦形剤および/または媒介物が添加された抗体またはその誘導化合物または機能的断片のうちの一つで構成された化合物を活性成分として含む医薬組成物にも関するものである。]
[0044] より詳細には、本発明は、さらに少なくとも一つの薬学的に許容できる媒介物を含む医薬組成物の調製のための本発明に係る抗体の使用を目的とするものである。]
[0045] 本明細書において、薬学的に許容できる媒介物とは、二次反応を引き起こさず、例えば一つまたは複数の活性化合物の投与を容易にし、生物内における活性化合物の寿命および/またはその効能を増大させ、溶液中におけるその溶解度を増大させ、さらにはその保存性を改善することのできる、医薬組成物に入る一つの化合物または複数の化合物の組合せを指す。これらの薬学的に許容できる媒介物は、当業者にとって周知であり、選択された一つまたは複数の活性化合物の性質および投与様式に応じて当業者により適合される。]
[0046] 好ましくは、これらの化合物は、全身経路、特に静脈内経路によって、筋内経路、皮内経路、腹腔内経路、もしくは皮下経路によって、または経口経路によって投与されるものである。より好ましくは、本発明に係る抗体を含む組成物は、時間間隔をあけて複数回で投与される。]
[0047] これらの化合物の最適な投与様式、薬量および製剤形態は、例えば患者の年齢または体重、その全体的な状態の重症度、治療に対する寛容度、および確認された副作用のような、患者に適合された治療の確立において一般的に考慮される基準にしたがって決定されてよい。]
[0048] 本発明によると、CRL−2696という番号でATCCに寄託されたハイブリドーマにより分泌される少なくとも一つのモノクローナル抗体またはその機能的断片のうちの一つを活性成分として含むことを特徴とする、癌の治療用組成物が記載されている。]
[0049] より詳細には、少なくとも一つの抗CD151抗体またはその機能的断片のうちの一つを含む組成物が記載されており、前記モノクローナル抗体は50−6抗体で構成されている。]
[0050] 文献より、CD151タンパク質が、癌、特に結腸癌[Hashida et al., Br. J. Cancer 89 (2003): 158−167]、小細胞肺癌でない肺癌[Tokuhara et al., Clin. Cancer Res. 7 (2001): 4109−4114]、前立腺癌[Ang et al., Cancer Epidemiol. Biomarkers 13 (2004): 1717−1721]および膵臓癌[Gesierich et al., Clin. Cancer Res. 11 (2005): 2840−2852]において過剰発現されるということが判明している。]
[0051] 当然のことながら、上述のリストは、例示を目的として示されたものにすぎず、あらゆる癌が、CD151タンパク質を過剰発現し、したがって本発明にしたがって治療できるものとして理解されるべきである。本発明のもう一つの補足的な実施形態は、同時使用、別々の使用または時間間隔をあけた使用を目的とした組合せ製品として細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤をさらに含む、上述の通りの組成物からなる。]
[0052] したがって、本発明は、同時使用、別々の使用または時間間隔をあけた使用を目的とした組合せ製品として、少なくとも一つの細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤および/または細胞毒および/または放射性元素をさらに含むことを特徴とする、上述の通りの組成物にも関するものである。]
[0053] 「同時使用」とは、唯一であり、そして同じである医薬形態に含まれた、本発明に係る組成物の二つの化合物の投与を意味する。]
[0054] 「別々の使用」とは、異なる医薬形態に含まれた、本発明に係る組成物の二つの化合物の同時投与を意味する。]
[0055] 「時間間隔をあけた使用」とは、異なる医薬形態に各々含まれた、本発明に係る組成物の二の化合物の連続的投与を意味する。]
[0056] 一般的に、本発明に係る組成物は、癌治療の効能を著しく増大させる。換言すると、本発明に係る抗体の治療効果は、細胞傷害剤の投与により予期せぬ形で高められる。本発明に係る組成物によって次に生じる主要な利点は、より少ない活性成分の有効な用量を使用できるという点にあり、これにより副作用、特に細胞傷害剤の効果が現れる危険性を回避または低減することができる。その上、本発明に係るこの組成物は、見越される治療効果をより迅速に達成できるようにすると思われる。]
[0057] 「抗癌治療剤」または「細胞傷害剤」とは、患者に投与された時に患者の癌を治療するかまたはその成長を予防する物質として理解すべきである。かかる作用物質の非限定的な例として、「アルキル化」剤、代謝拮抗物質、抗腫瘍性抗生物質、有糸分裂阻害剤、クロマチン機能阻害剤、血管形成阻害剤、抗エストロゲン剤、抗アンドロゲン剤または免疫調節剤に言及することができる。]
[0058] このような作用物質は例えば、VIDALの、癌腫学および血液学に関連づけされた化合物に関するページの「細胞傷害剤」の欄に引用されており、この文献に参照により援用されているこれらの細胞傷害性化合物は、本明細書で好ましい細胞傷害剤として引用される。]
[0059] 「アルキル化剤」とは、細胞の内部で、あらゆる分子、好ましくは核酸(例えばDNA)と共有結合するか、またはこれをアルキル化することのできる、あらゆる物質を意味する。このようなアルキル化剤の例として、ナイトロジェンマスタード、例えばメクロレタミン、クロラムブシル、メルファラン、塩酸塩、ピポブロマン、プレドニムスチン、リン酸二ナトリウムもしくはエストラムスチン;オキサザホスホリン、例えばシクロホスファミド、アルトレタミン、トロホスファミド、スルホフォスファミドもしくはイホスファミド;アジリジンもしくはエチレンイミン、例えばチオテパ、トリエチルアミンもしくはアルテトラミン;ニトロソウレア、例えばカルムスチン、ストレプトゾシン、フォテムスチンもしくはロムスチン;スルホン酸アルキル、例えばブスルファン、トレオスルファンもしくはインプロスルファン;トリアゼン、例えばダカルバジン;またはさらにプラチナ錯体、例えばシスプラチン、オキサリプラチンもしくはカルボプラチンを挙げることができる。]
[0060] 「代謝拮抗物質」とは、一般的にはDNA合成である或る種の活性と干渉することにより細胞の成長および/または代謝を遮断する物質を意味する。代謝拮抗物質の例として、メトトレキサート、5−フルオロウラシル、フロクスウリジン、5−フルオロデオキシウリジン、カペシタビン、シタラビン、フルダラビン、シトシンアラビノシド、6−メルカプトプリン(6−MP)、6−チオグアニン(6−TG)、クロロデゾキシアデノシン、5−アザシチジン、ゲムシタビン、クラドリビン、デオキシコホルマイシンおよびペントスタチンに言及することができる。]
[0061] 「抗腫瘍性抗生物質」とは、DNA、RNAおよび/またはタンパク質の合成を予防または阻害することのできる化合物を意味する。このような抗腫瘍性抗生物質の例として、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、バルルビシン、ミトキサントロン、ダクチノマイシン、ミトラマイシン、プリカマイシン、ミトマイシンC、ブレオマイシンおよびプロカルバジンが含まれる。]
[0062] 「有糸分裂阻害剤」は、細胞周期および有系分裂の正常な進行を防止する。一般的に、微小管阻害剤またはパクリタキセルおよびドセタキセルなどの「タキソイド」は、有系分裂を阻害することができる。ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシンおよびビノレルビンなどのビンカアルカロイドも同じく有系分裂を阻害することができる。]
[0063] 「クロマチン機能阻害剤」または「トポイソメラーゼ阻害剤」は、トポイソメラーゼIおよびIIなどの、クロマチンをモデリングするタンパク質の正常な機能を阻害する物質を意味する。このような阻害物質の例として、トポイソメラーゼIに対してはカンプトテシンおよびその誘導体、例えばイリノテカンまたはトポテカンが、そしてトポイソメラーゼIIに対してはエトポシド、リン酸エチポシドおよびテニポシドが含まれる。]
[0064] 「血管形成阻害剤」とは、血管の成長を阻害するあらゆる薬物、化合物、物質または作用物質を意味する。血管形成阻害剤の例として、限定的な意味なく、ラゾキシン、マリマスタット、バチマスタット、プリノマスタット、タノマスタット、イロマスタット、CGS−27023A、ハロフギノン、COL−3、ネオバスタット、BMS−275291、サリドマイド、CDC501、DMXAA、L−651582、スクアラミン、エンドスタチン、SU5416、SU6668、インターフェロン−アルファ、EMD121974、インターロイキン−12、IM862、アンジオスタチンおよびビタキシンが含まれる。]
[0065] 「抗エストロゲン剤」または「抗エストロゲン作用物質」とは、エストロゲンの作用を低減、拮抗または阻害するあらゆる物質を意味する。このような作用物質の例として、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、イオドキシフェン、アナストロゾール、レトロゾールおよびエキセメスタンがある。]
[0066] 「抗アンドロゲン剤」または「抗アンドロゲン作用物質」とは、アンドロゲンの作用を削減、拮抗または阻害するあらゆる物質を意味する。抗アンドロゲン剤の例として、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、スプリロノラクトン、酢酸シプロテロン、フィナステリドおよびシミチジンがある。]
[0067] 免疫調節剤は、免疫系を刺激する物質である。このような免疫調節剤の例として、インターフェロン、インターロイキン、例えばアルデスロイキン、OCT−43、デニロイキンジフリトクスもしくはインターロイキン−2、腫瘍壊死因子、例えばタソネルミン、または他のタイプの免疫調節剤、例えばレンチナン、シゾフィラン、ロキニメックス、ピドチモド、ペガデマーゼ、チモペンチン、ポリI:C、もしくはレバミゾールと5−フルオロウラシルとの組合せが含まれる。]
[0068] さらなる詳細については、当業者は、Association Francaise des Enseignants de Chimie Therapeutique編の「traite de chimie therapeutique, Vol. 6, Medicaments antitumoraux et perspectives dans le traitement des cancers, edition TEC &DOC, 2003」という題の概説書を参照することができる。]
[0069] 特に好ましい実施形態においては、本発明に係る組合せ製品としての前記組成物は、同時使用のために前記細胞傷害剤が前記抗体に化学的に結合していることを特徴とする。]
[0070] 特に好ましい実施形態においては、本発明に係る前記組成物は、前記細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤が、紡錘体の阻害剤または安定剤、好ましくはビノレルビンおよび/またはビンフルニンおよび/またはビンクリスチンの中から選択されることを特徴とする。]
[0071] 前記細胞傷害剤と本発明に係る前記抗体の間の結合を容易にするために、特に、ポリエチレングリコールなどのポリ(アルキレン)グリコール、さらにはアミノ酸のような、スペーサ分子を結合される二つの化合物の間に導入すること、または他の実施形態では、本発明に係る前記抗体と反応することができる機能が導入されているはずの前記細胞傷害剤の活性誘導体を使用することができる。これらの結合技術は、当業者にとって周知であり、本明細書では詳述しない。]
[0072] 本発明は、別の態様においては、前記抗体の少なくとも一つ、またはそれから誘導された化合物もしくは機能的断片のうちの一つが、細胞毒素および/または放射性元素と共役していることを特徴とする組成物に関するものである。]
[0073] 好ましくは、前記細胞毒素または前記放射性元素は、腫瘍細胞の成長または増殖を妨げること、特に前記腫瘍細胞を完全に不活性化することができる。]
[0074] さらに好ましくは、前記細胞毒素は、腸内細菌毒素、特にシュードモナス属の外毒素Aである。]
[0075] 療法に用いられる抗体に優先的に共役する放射性元素(または放射性同位体)は、ガンマ線を発する放射性同位体、そして好ましくはヨウ素131、イットリウム90、金199、パラジウム100、銅67、ビスマス217およびアンチモン211である。ベータ線およびアルファ線を発する放射性同位体も同様に療法に使用することができる。]
[0076] 本発明に係る少なくとも一つの抗体またはその機能的断片の一つに共役する毒素または放射性元素とは、結合分子を導入するかまたはせずに、特に二つの化合物の間の共有結合によって、前記毒素または前記放射性元素を前記少なくとも一つの抗体に結合することのできるあらゆる手段を意味する。]
[0077] 共役した複数の要素の全部または一部分の化学的(共有)結合、静電結合または非共有結合を可能にする作用物質として、特にベンゾキノン、カルボジイミド、そしてより詳細には、EDC(1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]−カルボジイミドヒドロクロリド)、ジマレイミド、ジチオビス−ニトロ安息香酸(DTNB)、N−スクシンイミジルS−アセチルチオアセテート(SATA)、紫外線(U.V.)と反応する一つまたは複数のフェニルアシド基を有する一つまたは複数の基を有する「架橋」剤と呼ばれる作用物質、そして特に好ましくはN−[−4−(アジドサリチルアミノ)ブチル]−3’−(2’−ピリジルジチオ)−プロピオンアミド(APDP)、N−スクシンイミド−イル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)および6−ヒドラジノ−ニコチンアミド(HYNIC)に言及することができる。]
[0078] 特に放射性元素のための他の結合形態は、二官能性イオンキレート剤の使用から成っていてよい。]
[0079] これらのキレート剤の中でも、金属、特に放射性金属および免疫グロブリンを結合させるために開発されたEDTA(エチレンジアミン四酢酸)またはDTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)に由来するキレートに言及することができる。かくして、DTPAおよびその誘導体は、リガンド−金属錯体の安定性および剛性を増大させるような形で、炭素鎖上で様々な基により置換され得る(Krejcarek et al. (1977); Brechbiel et al. (1991); Gansow (1991);米国特許第4,831,175号明細書)。]
[0080] 例えば、その遊離形態か、または金属イオンを伴う錯体の形態で医学および生物学において長い間きわめて広く利用されてきたDTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)およびその誘導体は、金属イオンと安定したキレート化合物を形成し、癌療法における放射性免疫複合体の開発のための抗体などの治療上または診断上有利なタンパク質に結合されるという傑出した特徴を示す(Meases et al., (1984); Gansow et al. (1990))。]
[0081] 本発明は、少なくとも一つの第二の抗腫瘍抗体をさらに含むことを特徴とする、本発明に係る抗体を含む組成物に関するものでもある。]
[0082] 本発明は、さらに、医薬品の調製のための本発明に係る組成物の使用を含むものである。]
[0083] したがって本発明は、より詳細には、癌の治療を目的とする医薬品の調製のための、以上で記載された通りの組成物の使用を目的とするものである。予防および/または治療が可能な癌の中でも、結腸癌、肺癌、前立腺癌または膵臓癌が好ましい。]
[0084] 本発明の目的は、CD151受容体を発現または過剰発現する細胞に対する生物学的に活性な化合物の特異的ターゲティングを目的とする医薬品の調製のための、本発明に係る抗体の使用にもある。]
[0085] ここでいう生物学的に活性な化合物とは、細胞の活性、特にその成長、その増殖、遺伝子の転写または翻訳を調節、特に阻害する能力をもつあらゆる化合物を意味する。]
[0086] 本発明の他の特徴および利点は、以下に説明する図面および実施例と共に、後続の記載の中で明らかになるものである。]
図面の簡単な説明

[0087] 前立腺癌の異種移植モデルにおける50−6抗体のインビボでの抗腫瘍活性を示す図である。スイスヌードマウス(n=6)に、PC3細胞を皮下経路で移植した。細胞移植から五日後に、腹腔内経路で、テスト対象の抗体をマウス一頭あたり2mgという攻撃用量でマウスに投与し、その後この抗体を一週間に二回、マウス一頭あたり1mgの用量で投与する。腫瘍体積をπ/6×長さ×幅×厚みという式で評価し、結果を統計的に評価するためにマン・ホイットニー試験を行う。]
[0088] 肺癌の同所性モデルにおけるインビボでのTS151抗体の抗腫瘍活性の評価を示す図である。免疫抑制されたマウス(n=10)に、1・106個のA549細胞を胸膜腔内経路で移植する。移植から七日後に、TS151抗体2mgという攻撃用量で腹腔内経路でマウスを処置し、その後、マウス一頭あたり1mgの抗体用量で5週間にわたり、一週間に二回処置する。対照ロットは、同じ投与スキームにしたがって、PBSの注入を受ける。]
[0089] ウェスタンブロット法による50−6抗体の特異性評価を示す図である。SDS−PAGE電気泳動の後、ゲルをクマシーブルーで着色する(A)か、またはニトロセルロース膜上にタンパク質を移してウェスタンブロット法を実施した(B)。この場合、次に転写膜を50−6抗体(1μg/ml)と共にインキュベートし、その後、ペルオキシダーゼに結合した抗マウスIgウサギポリクローナル抗体(GE Healthcare)と共にインキュベートしてから、化学発光により視覚化した。]
[0090] 実施例1;ヌードマウスの皮下に移植されたPC3腫瘍のインビボでの成長に対する50−6抗体の効果]
[0091] 免疫組織化学により前立腺癌の腫瘍組織におけるCD151の過剰発現が観察されたことから、PC3前立腺癌細胞の異種移植片に対する抗CD151 50−6抗体の評価が考慮された。PC3系は、ATCCを供給源とし、F12K+10%SVF+L−グルタミン培地で培養された、アントロゲン非依存性の前立腺系である。評価のため、スイスヌードマウスの右脇腹に5・106個のPC3細胞を移植する。移植から五日後に、動物を腫瘍体積に基づいて無作為化し、匹敵する2つの群に振り分ける。選択された移植済み動物の腫瘍体積は、治療の0日目において41mm3と47mm3の間に含まれる(体積はπ/6×長さ×幅×厚みという式で計算される)。このとき動物には、腹腔内経路で、テスト対象の精製抗体またはPBS(対照群)を投与する。抗体用量および注入頻度は以下の通りである:攻撃用量は、用量あたり2mgの抗体;維持用量は、用量あたり1mg、一週間に2回。]
[0092] 図1に提示された結果は、スイスヌードマウスにおいて皮下位置で50−6抗体が、移植したPC3腫瘍の成長を有意な形で阻害することを示している。統計的な分析は、この腫瘍の成長の阻害が、処置10日目以降、対照群と比較して有意なものであることを示している(p≦0.01)。] 図1
[0093] 実施例2:肺癌の同所性モデルにおける50−6抗体の抗腫瘍活性の評価]
[0094] ATCCを供給源とするA549細胞を、グルタミン10mM、10%のSVFのF12K培地で通常通り培養する。これらの細胞を、指数増殖期となるように移植の2日前に分裂させる。移植のために、7週間免疫抑制されたマウスに、麻酔してから、胸膜腔内経路でA549細胞を1・106個投与する。原発腫瘍は急速に成長し、4日間で、縦隔、肺および横隔膜を含む、注入部位に隣接する構造に広がる。この疾病をより良く模倣するため、処置は、細胞の移植後7日目に初めて腹腔内経路で開始される。マウス一頭あたり2mgの攻撃用量を注入した後、50−6抗体を5週間の間、一週間に2回、マウス一頭あたり1mgの用量で投与する。先に実施された実験から、IgG1対照アイソタイプの投与が動物の生存率に全く影響を及ぼさなかったことがわかっているため、PBSを受けたマウス群を対照として導入する。]
[0095] このモデルの評価パラメータは、動物の生存率であり、抗腫瘍活性は、T/C%=処置動物の生存率の中央値/対照群の動物の生存率の中央値×100の計算により表される。125%以上のT/C%が、製品の活性の証拠となることが立証された。]
[0096] 図2は、127%というT/C%計算値で50−6抗体の抗腫瘍活性を示す(P<0.001)。この結果により、50−6抗体の抗転移活性が確認される。] 図2
[0097] 実施例3:50−6抗体の特異性]
[0098] 50−6抗体の特異性をウェスタンブロット法で評価した。組換えタンパク質EC2 CD151(5μg)を4〜12%のアクリルアミドゲル(BioRad)上に被着させた。電気泳動(非還元性条件)の後、タンパク質をニトロセルロース膜上に移した。転写膜を次に、精製50−6抗体(1μg/ml)と共にインキュベートし、その後、ペルオキシダーゼに結合した抗マウスIgウサギポリクローナル抗体(GE Healthcare)と共にインキュベートしてから、化学発光により視覚化した。]
[0099] CD151のEC2ループを、大腸菌のペリプラズム内で溶解可能な形で発現させるため、pET22bベクター内でクローニングした。生成したタンパク質は、ヒトCD151のペプチド配列のアミノ酸130〜221を有しており、これに、精製を容易にするため、C末端位でPoly−His尾部を付加した。組換えEC2タンパク質を、HPキレート化セファロース支持体(GE Healthcare)上に固定化された金属に対するアフィニティークロマトグラフィー(IMAC)により精製した。]
[0100] 図3は、ウェスタンブロット法により、抗CD151 50−6抗体がEC2ループを特異的に認識することを示している。還元性条件でのSDS−PAGE分析の後にウェスタンブロット法が実施された場合、記憶の喪失が確認されることから、この抗体は、立体構造認識性の抗体である。] 図3
权利要求:

請求項1
癌の早期治療のための原発腫瘍の成長阻害を目的とする医薬品の調製のための、CRL−2696という番号でATCCに寄託されたハイブリドーマによって分泌されるモノクローナル抗体またはその機能的断片の一つの使用方法。
請求項2
前記抗体が50−6モノクローナル抗体であることを特徴とする、請求項1に記載の使用方法。
請求項3
前記モノクローナル抗体がCD151タンパク質に特異的に結合する能力を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の使用方法。
請求項4
前記抗体が、腫瘍細胞の内部における前記CD151タンパク質の転移促進活性を阻害する能力を有することを特徴とする、請求項3に記載の使用方法。
請求項5
前記癌が、結腸癌、肺癌、前立腺癌または膵臓癌で構成されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の使用方法。
請求項6
CRL−2696という番号でATCCに寄託されたハイブリドーマにより分泌される少なくとも一つのモノクローナル抗体またはその機能的断片のうちの一つを活性成分として含むことを特徴とする、癌の早期治療用の組成物。
請求項7
前記モノクローナル抗体が50−6抗体で構成されることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
請求項8
少なくとも一つの薬学的に許容できる媒介物を含むことを特徴とする、請求項6または7のいずれか一つに記載の組成物。
請求項9
同時使用、別々の使用または時間間隔をあけた使用を目的とした組合せ製品として、少なくとも一つの細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤および/または細胞毒素および/または放射性元素をさらに含むことを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一つに記載の組成物。
請求項10
さらに少なくとも一つの第二の抗腫瘍抗体を含むことを特徴とする、請求項6〜9のいずれか一つに記載の組成物。
請求項11
癌の早期治療を目的とする医薬品の調製のための、請求項6〜10のいずれか一つに記載の組成物の使用方法。
請求項12
前記癌が、結腸癌、肺癌、前立腺癌および膵臓癌の中から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の使用方法。
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